伏見人形(おふくちょろ)を手に語る石沢誠司氏
京都府立総合資料館再開館記念「馬の人形展」記念講演
「朏(みかづき)コレクションと郷土玩具」
2002年1月11日(金)(14時から15時30分)
京都府立図書館副館長 石沢誠司
於 京都府立総合資料館
1 郷土玩具とは何か
江戸時代のこどものおもちゃが明治以降、日本の各地で年中行事や風俗のなかで伝承されてきたもの。明治以降新たに作られたものを周辺に含む。
その特徴
(1)社寺の祭礼や縁日、年中行事のおりなどに売られた商品玩具
(2)その多くに縁起がつく。魔よけ・病よけ・安産・五穀豊穣・節句人形ほか
(3)土・木・紙など手近に入手できる材料で作られている。
土人形の場合、型でつくることができ、大量生産が可能になった。
大量(同じ手技の繰り返し)につくることがつくる美しさ
(4)明治以降、郷土の習俗と結びついて伝承されてきたので郷土色を持つ。
今も続いている要因:大人の玩具になった。(その魅力にひかれ、またはみやげ物として)
2 朏コレクションについて
(1)朏健之助氏の略歴
明治41年(1908年)生・武井武雄との出会いがきっかけ。1990年没
(2)朏コレクションの点数
第1次寄贈「昭和39(1964)年」8,991点、第2次寄贈「昭和49年(1974)」898点、第3次寄贈「昭和56年(1981)」1,555点、第4次寄贈「平成元年(1989)」733点、 総計12,177点
(3)朏コレクションの特徴
○広範に収集されている。○外国の玩具との比較ができる。○伏見人形ほか京都の郷土玩具が多い。
3 郷土玩具の魅力
(1) かたち(デザイン)のおもしろさ
日本文化の再発見(例 ちょろけん)美術作家への刺激(徳力徳太郎の版画など)
(2)描写のおもしろさ
(3)由来のおもしろさ
縁起がついていることが多い。また、その由来を通じて制作当時の社会がおしはかれる。
以上 文責(村上敏明)